[2008/12/09] 振り込め詐欺の被害金を横取り 詐欺容疑で男2人逮捕
[2008/12/09] 京都家裁書記官偽造判決書事件
[2008/12/08] 大阪の友梨さん不明「助けられる」と7000万円詐取
[2008/12/03] 振り込め詐欺使用携帯 7割ソフトバンク製 警察庁、本人確認徹底を要請
[2008/12/02] 架空仕事の預託金 180人から1000万詐取
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081206/crm0812061946024-n1.htm
熊本南署などは6日、振り込め詐欺グループの口座から携帯電話を使って被害金を横取りしたとして電子計算機使用詐欺の疑いで、横浜市保土ケ谷区、とび職高瀬貞義(32)と茨城県神栖市神栖、無職森田裕也(25)の両容疑者を逮捕した。携帯電話で残高照会や送金ができるモバイルバンキング機能を使ったという。(MSN産経ニュース)
インターネットで口座を買い取り、それを詐欺グループに転売。その口座をモバイルバンキングで見張り、入金があったら自分の口座に即送金、という手口。同様の手口で4件、計約170万円。
騙される人を騙す人がいれば、騙す人を騙す人もいるということですね。
送金できるという事はパスワードがわかっている訳で、口座を買い取った方はパスワード変更すらしていないという事で、なんとも間が抜けた話。横取りされたからと言って被害届が出せるわけでもなく。この容疑者がどういうルートで逮捕に至ったのかが気になります。
横取りするには、詐欺グループの方も入金のタイミングは分かっているでしょうから時間が勝負になるんでしょうね。横取りされた事に気づいた詐欺グループはどういう反応をするんでしょうか。振り込め詐欺にはヤクザが絡んでいる事も珍しくない訳で、報復とか怖くないんだろうかと思ったりもしますが、口座のやり取りを全てネット上で済ませるとか今時のやり方だったら怖くもないのかな。でもこれで名前がばれちゃいましたね。
http://news.fresheye.com/clip/6029905/
振り込め詐欺事件に使われて凍結された預金口座から別の口座に現金を移すため、偽の振込依頼書を銀行に送ったとして、埼玉県警は7日、京都家裁書記官の広田照彦容疑者(35)(京都市伏見区伯耆町)を偽造有印私文書行使の疑いで逮捕した。
京都地裁の偽の判決文を使って、凍結された口座から別の口座に数百万円が移されており、同県警は、広田容疑者が関与している可能性もあるとして詐欺などの疑いでも調べる方針。(読売新聞)
司法の立場を悪用した事件。整理すると、
1.容疑者は就籍許可審判書を偽造、大阪府の役所に提出、架空人物の戸籍謄本獲得
2.架空の戸籍謄本で口座開設、マンションを借り出入り。キャッシュカードはここで受取
3.振り込め詐欺に使われ、凍結された口座があった
4.その口座から上記1の人物を債権者とし、支払うように命じる京都地裁の判決文を偽造して、熊谷支部に送る
5.熊谷支部がその口座に差し押さえ命令、凍結を解除
6.容疑者が上記2の口座を指定する振込み依頼書を偽造し、銀行へ送る
7.銀行が入金。容疑者が引き出し
8.最高裁からの通達があり判決文を不信に思った支部が京都地裁に問い合わせて偽造発覚、債権人も架空と判明。告発へ
9.上記6の、偽造有印私文書行使容疑で容疑者逮捕
8日の段階で上記6以外はまだ「疑い」です。偽判決文は全国6裁判所に送付されており、合計一千万円以上の引き出しの記録があるそうです。
判決文の公印は偽造、裁判官や書記官の名前は実在のもの。
司法の側の人間が立場と知識を利用した今回の事件。今の所単独犯とみられています。
戸籍を作って住居まで構える辺り、用意周到に見えますが、架空の人物作成時の書類に自分の名前を使った点では詰めが甘い。戸籍獲得が昨年9月、偽判決文が送られたのが今年の9~10月なので、最初からこれを狙って戸籍を作ったのかどうかは分かりませんが。いずれにせよ悪い事をしようとしてたのでしょうけども。
問題は、今回の事がなければ偽戸籍がバレなかったという事でしょうか。司法の立場を悪用すればやりたい放題できてしまうんでしょうか。偽造が今回発覚したものの他にはなかったのかが気になります。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081206-00000531-san-soci
大阪府熊取町で平成15年5月、下校途中に行方不明になった当時小学4年生の吉川友梨さん(14)の家族に、「友梨さんを助けた。犯人から奪回した際に費用がかかった」などと持ちかけ、現金をだまし取ったとして、府警捜査1課と泉佐野署は6日、詐欺の疑いで堺市内のいずれも無職で自称、中谷浩氣容疑者(39)と川上佳代容疑者(38)を逮捕した。(産経新聞)
4年間で総額約6800万円。
被害者は「助ける、助けた」と言われてその調査費用や救出費用、「心が傷ついている。静養が必要」と言われてお子さんの交通費、生活費などを支払ったそうですが、その一方で家族はその4年の間に何度もポスター貼りやビラ配りをするなどして自主的に捜索活動もしてきています。その矛盾は、犯人の巧みな心理操作による「警察不信」から起きたようです。詳しいまとめページは↓。
吉川友梨ちゃん捜索の近況情報! - 吉川友梨ちゃん捜索の輪 http://www.jtw.zaq.ne.jp/ittyan/yurichan_kinkyou.htm
「警察の捜査力では発見できない」「警察は身内を疑っている」と言われ、父親は誰にも相談せずに自由に出来る資金がつきるまで支払いを続けたそうです。この「誰にも」というのが「家族にも」という意味なのが悲しいですね。詐欺の被害に遭う人は、「誰にも相談しなかった」ということが少なくない気がします。犯人がそうさせないように巧みに被害者を追い込むのでしょうが、周りの人は「一言言ってくれていれば」とやりきれない思いでしょう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081202-00000087-san-soci
過去最悪のペースで被害が続いている振り込め詐欺で、今年1~6月に詐欺への使用が判明した携帯電話は約2300台あり、約7割がソフトバンク製だったことが2日、警察当局の調べで分かった。契約時の本人確認が不十分なケースが多いとみられ、警察庁は同社を含めた携帯電話各社に、改めて本人確認の徹底を要請している。(産経新聞)
ソフトバンクは携帯電話不正入手の事件が何度かあり、店員や店長自ら関わって逮捕されています。
ソフトバンク携帯電話不正取得 販売側の店長ら逮捕 -ちばとぴhttp://www.chibanippo.co.jp/news/chiba/society_kiji.php?i=nesp1204854734
携帯電話不正取得:入手の店員に懲役2年を求刑 -毎日新聞
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20081025ddlk40040484000c.html
偽造された健康保険証を使って携帯電話を不正に入手させたとして、電子計算機使用詐欺罪などに問われた粕屋町長者原、ソフトバンク代理店員、松原智典被告(22)の初公判が24日、地裁小倉支部(野路正典裁判官)であり、松原被告は「間違いありません」と起訴事実を認めた。即日結審し、検察側は懲役2年を求刑した。(毎日新聞)
振り込め詐欺の2大ツール、銀行口座と携帯電話。口座の方は法律が出来たり身分確認が厳しくなったりしてきましたが、携帯電話の方を対策強化し始めたのはわりと最近です。
2006年4月に施行された「携帯電話不正利用防止法」というものがあるのですが、これが2008年12月1日に改正施行されて、レンタル業者にも身分証確認が義務付けられました。
携帯電話不正利用防止法のページ -総務省
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/d_syohi/050526_1.html
改正に伴い、携帯電話業者と警察庁の間で偽造の疑いがある身分証の情報提供制度が始まったようで、早速逮捕者が出ています。
情報提供制度を初活用、携帯詐取未遂で男逮捕 -MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081202/crm0812021355029-n1.htm
ちなみにこの逮捕者が不正取得しようとしたのもソフトバンク。「ネット上の闇サイトで携帯電話を買う仕事を見つけた」と供述。
この改正と情報提供制度で不正な携帯電話をどれだけ減らせるでしょうね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081201-00000048-san-soci
調べでは、高橋容疑者は10月下旬、新宿区の自由業の女性(23)に「高収入の仕事をやりませんか。安全な仕事があります。携帯電話のシムカードを運ぶ仕事で2カ所運ぶと60万円渡します。預託金と身分証のコピーが必要です」などとうそのメールを送信。預託金を持ってくるように伝え、高橋容疑者の自宅の郵便受けに6万円を入れさせて、だまし取った疑い。(産経新聞)
おいしい仕事がある。でもそれをするにはまず保証金を、預託金を、研修費用を、といって金を詐取する、昔からよくある手口。容疑者は「自分も同じ手口で騙されたから」と供述しているそうです。
よくわからないのは、この容疑者が「同様の手口で平成19年5月から今年11月にかけ、約180人から約1000万円をだまし取っている」、ということ。
自宅の郵便受けとかいうすぐ身元がバレるものを使っているのに、なぜ今まで逮捕されなかったんでしょうね。